設備投資に関連する税制まとめと投資促進税制の概要(2022年7月現在)

景気刺激策として、設備投資や賃上げに対する税制優遇措置が設けられることが多いです。ところが、税制改正の度に新しい制度が出来たり、既存の制度が改正・廃止されたりして、「いまどうなっているのか」が分からないという方も多いと思います。そこで、現在有効な設備投資税制をまとめ、その中でも特に利用頻度の高い「投資促進税制」について解説したいと思います。

【現在の設備投資税制】

以下のような税制が用意されています。皆様はいくつ分かりますか。

中小企業投資促進税制

中小企業経営力強化税制

DX投資促進税制

カーボンニュートラル促進税制

固定資産税(償却資産)の軽減特例

DX投資促進税制とカーボンニュートラル促進税制は主に大企業向けの税制です。中小企業の場合は主に中小企業投資促進税制と中小企業経営強化税制を適用することが多いです。ただし、後者は設備が4類型に分かれていたり、事前の手続きがあったり(しかも手続きが類型によって違う)して分かりにくいです。まずここでは基本となる中小企業投資促進税制を抑えておきたいとおもいます。

【中小企業投資促進税制の概要】

 機械設備やソフトウェア、貨物用車両等を導入した場合に、特別償却または税額控除を受けることができます。設備投資減税の中では、現状では最も対象範囲が広く、使い勝手の良い制度だと言えます。ただし、業種と設備に制限がありますので、注意してください。

【対象者】

青色申告書を提出する中小企業者・農業組合等・商店街振興組合等、また従業員数1,000人以下の個人事業主

【対象となる業種】

制度の適用を受けられる業種に制限があることが特徴です。自社の事業が下記に該当するか、確認してみましょう。

製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、採石業、砂利採取業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブ等については生活衛生同業組合の組合員が行うものに限る。)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業、沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、情報通信業、損害保険代理業、不動産業、駐車場業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、映画業(映画業以外の娯楽業は対象外)、教育、学習支援業、医療、福祉業、協同組合(他に分類されないもの)およびサービス業(他に分類されないもの)

※なお、性風俗関連特殊営業に該当するものは除かれます

【対象設備】

設備の種類対象となるもの
機械装置1台160万円以上
測定工具、検査工具1台120万円以上または、 1台30万円以上かつ複数合計120万円以上
ソフトウェア (複写して販売するための原本、研究開発用、サーバー用OS等を除く)1つで70万円以上または、 複数で合計70万円以上
貨物自動車車両総重量3.5トン以上
内航船舶取得価額の75%が対象

※匿名組合契約等の目的である事業の用に供するものを除く

※車両については、ナンバープレートで対象かどうか確認することが出来ます(対象ナンバーは1、10から19、100から199、10Aから19Z、1A0から1Z9、1AAから1ZZ)。

【優遇措置】

対象者措置
個人事業主 資本金3千万円以下の中小企業30%特別償却または、7%税額控除
資本金3千万円超の中小企業30%特別償却

【対象期間】

令和5年3月31日までに取得等をして国内の対象事業の用に供した資産について適用されます。

【税額控除の限度額】

「中小企業経営強化税制」との合計で法人税額の20パーセント相当額が上限となっています。

【税額控除限度超過額の繰越し】

税額控除額が限度額を超えてしまい、その事業年度において税額控除限度額の全部を控除しきれなかった場合には、その控除しきれなかった金額ついて1年間の繰越しが認められます。

いかがでしょうか。ポイントは【対象となる業種】と【対象設備】ですね。令和5年3月に期限を迎えるため、次期税制改正で延長されるかどうか、要件に変更があるのかどうかも注意する必要があります。

繰り返しになりますが、設備投資税制は制度や要件がよく変わります。設備投資をしようかな、と思った際には、早めに税理士にご相談ください。購入を決めてからでは手遅れになる場合もありますよ!

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